[静岡 7日 ロイター] 欧州の債務・金融危機の長期化が避けられない中で、その影響が世界経済に波及し始めているが、中国をはじめとしたアジア地域の新興国経済の動向が、日本経済の行方を左右する可能性が大きい。
日銀では、日本経済の先行きについて、新興国経済の成長率の高まりなどに支えられ、緩やかな回復経路に復帰していく姿を想定しているが、欧州危機が新興国経済に与える影響の程度によっては、基本シナリオが崩れかねない。
日銀の石田浩二審議委員は、7日に静岡市で講演を行い、「足元の最大のリスク」と位置づけている欧州危機について「抜本的な解決には相当の時間を要する」と語った。
そのうえで、欧州問題が世界経済に与える影響では、新興国経済への波及経路を列挙。欧州経済の減速の強まりによって「すでに新興国の輸出に影響が出始めている」とし、投資家のリスク回避姿勢が一段と強まれば「新興国からの資金流出につながる可能性がある」と指摘した。
さらに、欧州の金融機関がドル資産を圧縮する動きがみられているとも語り、「先行き、新興国向けの貸し出しが抑制され、貿易金融などに影響がおよぶことも懸念される」と続けた。
その後の会見でも、中国に言及し、欧州向け輸出の多さなどから「ユーロ圏の経済が減速すれば、彼らの経済が減速する。その兆候が一部で出ているかも知れない」と欧州危機の新興国経済への広がりに警戒感を示した。
先行きの日本経済について、新興国経済と復興需要が両輪となって、回復経路に復帰していく姿を基本シナリオに置いている。欧州危機の影響と、それを受けた新興国の金融・経済政策運営に一段と注意を払わざるを得ない状況が続きそうだ。
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