不況対策は迅速に実行に移すことが大切である。
不況は待ってくれず、状況は刻一刻と厳しくなる。
危機管理チームを正式に発足させ、自社の不況対策を担当させると良いだろう。
不況対策の推進役である危機管理チームは、
1.さまざまな経済状況のシナリオを策定し、事業への影響を見極める。
2.不況によるリスクと、その最中に到来するであろうチャンスを洗い出す。
3.リスクの緩和とチャンスの活用を図って設計された一連の対策に優先順位をつける。
という大きくわけて3点を段階的に行う。
対策に優先順位をつける際は、緊急性、財務全体への影響、実施上の障害、対策が事業にもたらすリスクなどを考慮して評価を下すべきである。
短期では何に焦点を絞って対策を打つべきか、また長期ではどう対策を打つべきかを検討し実行するのだ。
そして、このチームが一連の対策の実施を監督し、進歩状況を監視し、経済情勢の変化を考慮しながら、対策を継続的に見直していくことが重要である。
ここで、危機管理チームの活動の重要となるポイントをいくつかあげてみよう。
●深刻化している危機について、理解と認識を深める
危機管理チームは、社内に危機感を醸成し、これを維持していく上で有効である。これはひとつに、ひつような対策を実行するに当たり、このチームの働きによって透明性と一貫性が担保され、事実に基づいたプロセスとなる。またチームは経済情勢をたえず関しし、必要とあれば、穏やかな景気後退というシナリオから最悪のシナリオへと行動計画を移行させる。
●経営陣が積極的に行動するよう促す
不況対策の責任者、CEOとの協力関係を緊密にすることで、危機管理チームは経営陣にたえず進展を伝える一方で、必要に応じて経営陣を引っ張り出す。
●個々の対策と全体計画を関連させる
危機管理チームが対策の優先順位と時期を明らかにすることで、個々の対策は相互に補強するようになる。また、既存の対策の中止・加速・統合や新たな対策の導入に辺り、個々の対策と全体についてチームは継続的に評価すべきである。
●社員に配慮する
危機管理チームは、対策へのコミットメントを社員から引き出すために、自社が直面している脅威をはっきり示さなければならない。さらに改革が必要な理由と、改革に必要なものを説明すると同時に、社員に及ぶであろう影響についても明確に伝えなければならない。
以上である。