EU、財政規律の強化案に合意―IMFへ最大2000億ユーロ拠出
【ブリュッセル】欧州連合(EU)首脳会議は最終日の9日、財政規律を強化する協定に合意する方向となった。ただ、イタリアやスペインの財政が悪化した場合の支援の資金源となる欧州金融安定基金(EFSF)と欧州安定メカニズム(ESM)の資金枠の拡大に関する合意は先送りされた。
EU首脳会議に臨むメルケル独首相ら(9日、ブリュッセル)
EU加盟全27カ国中、英国を除く26カ国が基本合意した規律強化は、単年度の財政赤字が国内総生産(GDP)の3%、全体の債務が同60%を超えた場合は自動的な制裁が発動される。また、「ゴールデン・ルール」と呼ばれる景気循環による変動を調整した構造的財政赤字をGDP比0.5%に抑制する条項を、各国が憲法やそれに準じる法律に盛り込むことが義務付けられた。
規則に違反しているかどうかの判断は、欧州司法裁判所が行う。
ただ、新ルールは、英国が反対したため全加盟国の合意を必要とするEU条約を改正する形には持ち込めなかった。
一方、域内各国支援の予備資金として国際通貨基金(IMF)に最大で2000億ユーロ(約20兆7000億円)を拠出することは、英国も含む全27カ国の合意が得られた。最終的な拠出額や、このうちどの程度の額が欧州支援に割り当てられるかなどの詳細は、今後数週間をかけて詰める。
また、当初はEFSFの後継基金となるはずだったESMを前倒して発足させ両基金の平行運用で域内資金支援を行っていくことには合意したが、両基金で現行の資金枠5000億ユーロを引き上げることには合意が得られず、来年3月の次回首脳会合で再検討する形で先送りされた。この資金枠拡大案では、イタリア、スペイン支援とユーロ圏銀行の資本増強に最大7000億ユーロが確保されるものだったが、ドイツが強く反対した。
EU加盟国が共同で発行する「ユーロ共同債」については今回の首脳会合では合意されなかったが、構想事態がなくなったわけではなく、イタリアのモンティ首相は3月の首脳会合で重要議題の1つとなる可能性があると語った。
<ウォールストリートジャーナルより>
株式市場ではこのニュースは好感され、NYダウなどは大幅上昇したようですが、売りに飽きていた相場が単に買い戻しの理由として扱ったにすぎず、欧州危機の解決には結びつくものではないと思います。
緊急策としてECBが国債を買い取るというわけでもなく、ユーロ共同債発行の合意がなされたわけでもなく、単にEUの財政統合への条約改正等の合意がなされたというだけです。
ユーロ圏は終わりのはじまりかもしれません。
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