「不況の後には変化が起こる。」
優秀なビジネスパーソンはいち早くそれを察知し、来たる変化に一早く適応すべく、情報のアンテナを張り巡らしていることだろう。彼らはそれが重要なことだと理解しているのだ。
地球上の生物はもれなく、環境に適応するために多様化を試み、新しい環境にふさわしいものであれば生き残ることができる。そして環境に適応できない種族は、進化に取り残され滅んでいく。
それは、企業についても同様であるといえる。ビジネス環境の変化に適応できない企業は、競争に敗れ、衰退し、いつしか過去の産物となってしまうものだ。
国についても同様だ。かつて世界は、資本主義と共産主義で二極化していたが、時代に選ばれたのは資本主義だった。その後アメリカは繁栄し、ソ連は崩壊した。
つまり、不況の後にくる時代の変化に適応できないものは、生き残れないのだ。
そしてまさに今、世界的金融危機によって一つの古い時代に幕が下り、新しい時代が幕をあけようとしている。
幕が開いたそのとき、今までとは別の価値観、別の思想が世界を覆っているだろう。
その変化にいかに適応して行くことができるかが、次世代のビジネスパーソンとして生き残る者にとって、また次世代に生き残る企業にとっての最重要課題となる。
今、企業が真剣に取り組むべき課題は、
先の見えない環境の中で、変化を察知し、ただちにこれに適応すべく、さまざまなシナリオを想定し、
どのようなシナリオにも適応できる準備を整える一方、回復期に備えることだろう。
嵐が過ぎ去るのをただじっと待っていては競争に敗れる。かといって、むやみに動けば変化を読み間違えたときにダメージが大きい。
ベストな選択としては、新しい能力を獲得する行動に移りつつ、静かに耐えることである。
適応行動とは受動的ではなく難易度も高い。よって、必要としなければならない能力が多数上げられる。
それは、変化をすぐさま察知する能力、その変化を正しく把握する能力、さまざまなシナリオをプランニングする能力、そしてこれらを実行できる能力、状況に応じて修正する能力、である。
これらの能力は、もちろん経験と知識の「幅」と「深さ」にも関連してくることであるが、今回のような大きな変化に備える場合は「創造力」とも関連が深い。
サービスや商品だけでなく、企業組織そのものが、生まれかわるための創造力を駆使し、来たる新時代に適応していかなければならないだろう。